健康長寿の鍵 ~乳酸菌発酵液~
バイオジェニックス健康法
東京大學名誉教授 光岡知足

腸内クリーニング

ビフィズス菌の働き

Fig.3
図3

 ビフィズス菌はオリゴ糖を利用して乳酸や酢酸を生成し、その結果、すぐれた大腸掃除役となってくれます(図3)。
 これが『腸内クリーニング』です。オリゴ糖は、大豆、ゴボウ、アスパラガス、タマネギなどに含まれていますが、人の消化酵素では消化されないので、そのまま大腸まで達し、そこでビフィズス菌の栄養源となって利用され脂肪酸がつくられます。その過程でビフィズス菌が著しく増加し、それによって腸内環境が酸性になり、腸の運動を促し、便秘を予防し、腸内クリーニングに働きます。また、悪玉菌の増殖を抑えて腐敗物質を減少させるので、便臭を少なくします。さらに病原菌の発育を抑え、下痢や腸炎も予防します。これは、ビフィズス菌の菌体に含まれる物質が、からだの免疫力を高め、感染症や生活習慣病を予防するからです。
 欧米型の食事に偏食し、しかも便秘を続けていると、腸内に悪玉菌が増加し、ガンや老化を早めかねません。したがって、腸内にビフィズス菌優勢・悪玉菌劣勢のバランスを維持することが、私たちの健康管理にとってきわめて重要なのです。

食物繊維の効果

食物繊維は野菜、果物、海草、きのこ、雑穀などに多く含まれており、消化されにくく、消化管内で水分を吸収して消化管内容の嵩が増加し、便を軟らかくし、そのため、排便量と排便回数が増加します。それによって便秘の予防と治療に効果を発揮することになるのです。ビフィズス菌が大腸上部で増殖して乳酸・酢酸を多量に生成し、大腸内が酸性に傾きますと、発ガン物質や老化物質をつくる悪玉菌が増殖しにくい環境となると同時に、乳酸・酢酸と食物繊維の腸壁への刺激が協調して腸内容を早く大腸下部へ送り出し、ビフィズス菌が多い黄土色の便を排泄することができるのです。この状態が大人の便として理想的な色です。


オリゴ糖の効果

 オリゴ糖は、自然界ではタマネギ、ゴボウ、アスパラガス、豆類、麦類、砂糖大根などに含まれていますが、最近、いろいろなオリゴ糖が腸内のビフィズス菌を増やすものとして開発、製造されて、飲料や健康食品として市販されています。
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図4
そのようなオリゴ糖として、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖などがありますが、その効果はどれも良く似ています。オリゴ糖はヒトの消化酵素によってほとんど消化できません。そのため、このような成分を含む食べ物を摂ると、オリゴ糖が大腸内のビフィズス菌の増殖を促進し(図4)、
その結果、ウェルシュ菌など腐敗菌を著しく減少させ、便秘を改善し、腸内腐敗が抑制され、大腸ガン・糖尿病などの予防に有効だと考えられます。その他の働きは、
1.低カロリーなので、肥満気味の人や血糖値が気になる人にも好適です。
2.虫歯の原因であるミュータンス菌には利用されないので、代替甘味料として食品加工に用いると、虫歯になりにくく有効です。
3.消化されにくいので、これを摂取しても血糖値は上昇しません。従って、血中インスリン濃度もほとんど影響を受けないことが観察されています。
しかし、オリゴ糖を急に多く摂ると、下痢を起こしたり、お腹が張ったりすることがありますから、徐々に摂取量を増やしていくようにしましょう。


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