健康長寿の鍵 ~乳酸菌発酵液~
バイオジェニックス健康法
東京大學名誉教授 光岡知足

乳酸菌発酵液によるバイオジェニックス健康法

殺菌乳酸菌も保健効果があることがわかった

Fig.05
図5
 わたくしは、発酵乳に含まれる生きた乳酸菌の作用を除くため、マウスに乳酸菌と酵母でつくった殺菌酸乳(発酵乳を加熱殺菌したもの)を終生与え、寿命を調べたるため、1群90匹のマウスを、普通飼料投与群、牛乳14%添加飼料投与群、殺菌酸乳14%添加飼料投与群の3群に分け、離乳期から一生にわたって試験飼料を与えて寿命を調べたところ、普通飼料群、牛乳投与群がそれぞれ平均寿命84.9週と84.4週で変わらなかったのに対し、殺菌酸乳投与群では平均寿命は約7週間(8%)伸び、91.8週という結果が得られました。(図5)
なお、この実験に使用した殺菌酸乳は乳酸菌と酵母で長時間発酵・熟成したカルピス殺菌酸乳です。この成績から、殺菌酸乳の中に含まれる生菌そのものではなく、乳酸菌の発酵生成物か、あるいは乳酸菌の菌体成分が、延命に何らか有効に働いているものと推測されました。
fig.06
図6
 次に、マウスに脱脂乳、乳酸、あるいは殺菌酸乳を経口投与しておき、エールリヒの腹水癌細胞を移植すると、殺菌酸乳投与群だけに移植エールリヒの腹水癌細胞の増殖が42%抑制されることが認められ、脱脂乳や乳酸を与えた群ではその効果は認められませんでした(図6)。
さらに、酸乳を発酵させるときに使用する乳酸菌の培養菌体を投与した群では、殺菌、未殺菌ともに腹水癌細胞増殖抑制効果が認められ、この効果の有効成分は菌体中にあることが示され、さらに、投与菌数が多いほど抑制効果も強いことが明らかになりました。このように、殺菌酸乳の研究で摂取した乳酸菌は、死菌であっても生菌と同等の整腸効果・感染防御・免疫賦活効果・抗腫瘍効果・高血圧抑制効果があることが明らかとなりました。このとき、わたくしは「バイオジェニックス」という新しい概念を提唱したのです。


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